北海道ショアヒラメの釣り方|3海域ベイトカレンダーと釣れる地形・水温まとめ

北海道 ショアヒラメ 釣り場 アイキャッチ 魚種・ベイト図鑑

「漁港でヒラメなんて難しいのでは?」と一時期思っていました。

道南・江差でカタクチイワシの大群が入ってきた日、水面が急に騒がしくなり、
直後にブリとヒラメの魚影が一気に濃くなりました。
あの日確信したのは「ヒラメを釣りたければ、ヒラメではなくベイトを探せ」ということです。

ヒラメはサーフや磯だけで釣れる魚ではありません。
ベイトが接岸し、砂泥底に地形変化があり、水温が16〜21℃の上昇局面にある——
この3条件が揃えば、漁港でも釣れます。

この記事では、北海道3海域(日本海・太平洋・オホーツク)のベイトカレンダーを月別に整理しました。
日本海は冬〜春のニシンと夏〜秋のイワシで通年ベイトが切れず、道南では11〜12月の寒ビラメシーズンまで実績が続きます。
太平洋は砂泥底・流入河川・種苗放流が揃う噴火湾(胆振)が道内最大級のヒラメ資源量を誇り、秋の日高シシャモ接岸が道内最大の爆発シーズンを作り出します。
オホーツクは流氷退去(5月前後)がシーズンインの合図です。

ヒラメが好む地形(岩礁×砂地の境目・カケアガリ・離岸流)と水温の読み方も含め、
釣行前チェックリストとして使える形にまとめています。
水産庁・道総研の公的データと実釣経験をもとに整理しました。
3条件を揃えて適切な地形に立てば、ヒラメは「運ゲー」ではなくなります。

ヒラメはフィッシュイーター|ベイトなしに釣れない理由

砂に潜んで待ち伏せる捕食スタイル

ヒラメは、沿岸の砂泥底で水深数m〜200m程度まで広く分布する底生魚です。
一般に成魚は水深100〜200mの海域に多く、産卵期には水深20〜40mほどの浅場にも集まります。
両目が体の左側に集まっているのは、砂に潜って上を向き、頭上を通るベイトを狙い撃ちするためです。
砂と同じ体色に擬態したまま息をひそめ、ベイトが射程に入った瞬間に飛び出して捕食します。

最大で体長1m・体重10kgを超えることもある大型のフィッシュイーターです。
カレイと似た見た目ながら食性はまったく異なります。
カレイがゴカイや甲殻類を食べるのに対して、ヒラメの主食は小魚です。

ベイトが来なければヒラメも動かない

ヒラメの胃内容物を調べた研究では、マイワシ・カタクチイワシ・ニシン・チカ・シシャモ・キュウリウオなど、
その季節に沿岸へ回遊してきた小魚が次々と出てきます。
本州の一部の調査ではキスやハゼなど底生魚が多い例も報告されていますが、
北海道では亜寒帯固有のベイト種が加わるのが特徴です。

道南・江差での釣行で、カタクチイワシの大群が漁港内に入ってきた日のことが忘れられません。
水面が急に騒がしくなり、直後にブリとヒラメの魚影が一気に濃くなりました。
あの日確信したのは、「ヒラメを釣りたければ、ヒラメではなくベイトを探せ」ということです。

ベイトのいない砂浜にヒラメは着きません。
逆に言えば、ベイトさえいれば漁港でも磯でもサーフでも、ヒラメは動いてきます。

ヒラメが好む地形|「砂泥底×変化」がキーワード

基本は砂泥底〜砂地

ヒラメが好む底質は砂泥底から砂地です。
青森県水産総合研究センターの資料でも、産卵場・着底域ともに「粗砂〜砂礫・砂泥域」とされています。
砂地でなければ砂に潜れず、擬態して待ち伏せするという捕食スタイルが成立しません。

ただし「変化のない砂地のフラット」が最良かというと、そうではありません。
砂地に何らかの「変化」が絡む場所のほうが、ヒラメの密度は高くなります。

岩礁×砂地の境目を好む3つの理由

実釣でも研究データでも一致する「鉄板の地形」が、岩礁と砂地の境目(ミックスゾーン)です。

① ベイトが集中する帯になる

岩礁周りには小魚や甲殻類が着きやすく、砂地側にはアミやゴカイが多い。
境界部は両方のベイトが「重なる」ゾーンになるため、餌生物の多様性・密度ともに高くなります。
育成礁の研究でも、砂地に人工礁を置いた部分にヒラメ幼稚魚と餌のアミ・仔魚が集中した事例が報告されています。

② 待ち伏せに最適なポジション

砂に潜って岩礁を背にすれば、岩礁から出てきたベイトが砂地側へ移動する「境目」を狙い打てます。
ベイトが警戒を緩める瞬間を最短距離で突けるポジションです。

③ 流れ・ヨレが生まれやすい

シモリやテトラ帯の周りは流速差や反転流が生じやすく、「ヨレ」や「払い出し」ができます。
こうした流れの境界にはプランクトンからベイトまでが集まり、ヒラメが定位しやすい場所になります。

カケアガリ(駆け上がり)との関係

サーフでヒラメを狙ううえで欠かせない地形知識が「カケアガリ」です。
海底が急に浅くなる斜面のことで、波が急に立ち上がる場所の沖側がカケアガリのサインです。

ヒラメはカケアガリの下側(深い側)に潜んでいます。
斜面の下に身を隠しながら、斜面を乗り越えようとするベイトを下から突き上げるイメージです。

ルアーがカケアガリをまたぐ瞬間にヒラメが飛び出す、というイメージで攻略します。
深側に潜むヒラメの頭上をルアーが通過するタイミングが、最大の食わせどころです。

ヒラメの稚魚〜若い個体は、水深20m以浅の砂地・砂泥底を育成場として利用することが調査で確認されています。
ふ化後しばらく浮遊生活を送ったのち、5〜20mほどの浅い沿岸域に着底し底生生活に移行します。浅場はヒラメにとってもともとのホームレンジです。
実釣データでも「波打ち際の水深50cm〜1m前後でバイトしてくる」ことは珍しくなく、ベイトを追って膝下〜腰くらいの浅さまで普通に入ってきます。

ルアーフィッシングの鉄則は、足元の際までルアーを泳がせること
逃げ場を失い追い詰められたベイトを演出することが、ヒラメのバイトに結びつきます。

ベイトが溜まる釣り場の条件

サーフ|離岸流・カケアガリ・河口が最優先

サーフは広大なフィールドですが、ヒラメは「微妙な変化」がある場所に集中しています。
見た目はフラットなサーフでも、以下の地形変化を見つければ一気に絞り込めます。

  • カケアガリ(1〜2段):波が立ち上がるライン、その内側・外側。カケアガリの下側がヒラメの定位ポイント
  • 離岸流の筋・左右のヨレ:泡の筋が沖へ伸びる場所、波の色が違う場所。離岸流の両サイドにベイトが集まりやすい
  • シモリ混じりの砂地:点在する沈み根の周囲。大型ヒラメの着き場として有名
  • 河口サーフ:流心とカケアガリが絡む河口周辺。アミ類と仔稚魚が豊富で、生態的にも一級ポイント

⚠️ 河口サーフでの釣行と「さけます河口規制」について
北海道では毎年9〜11月ごろ、サケ・マスの産卵遡上に合わせて「さけ・ます類の採捕禁止区域」が各河川の河口付近に設定されます。
「採捕」にはキャッチ&リリースも含まれるというのが公式見解です。
規制期間中の規制河口では釣りそのものを控え、規制のない河口や別の釣り場を選ぶことを推奨します。
規制区域・期間は河川ごと・年ごとに異なります。釣行前に必ず「北海道のフィッシングルール」で最新情報を確認してください。

磯|磯際の砂地ポケットを狙う

磯場は地形変化が複雑なため、ベイトが集まりやすい環境が自然にできています。
ただしヒラメの観点では「磯の中」ではなく「磯と砂地の境界」を探すことが重要です。

  • 磯のスリット・ワンド直下にある砂泥のポケット
  • 磯〜サーフの切れ目(岬の付け根)
  • シモリの外側にできる砂地の溝(ミオ筋)
  • 潮流が岬に当たってできるヨレと砂だまりがセットになった場所

砂だけのサーフより、磯〜砂のミックス帯のほうがヒラメをはじめ多様な魚が着きます。

漁港|外洋接続・船道のカケアガリ・テトラ切れ目

「漁港でヒラメは釣れないのか?」という疑問に対して、
水産庁・道総研の資源評価からも沿岸浅場にヒラメが分布していることが示されており、
条件が揃えば漁港でも十分狙える魚だとわかります。

カタクチイワシが大量接岸した際に、ヒラメが水深1〜3mの防波堤基部の砂泥底まで追ってくる事例もあります。
漁港でヒラメを狙うポイントは「砂泥底+ストラクチャー+適度な流れ」が揃う場所です。

  • 船道のカケアガリ:浅い船溜まりから急に深くなる境目
  • 岸壁の基部:基礎ブロックで砂地が段差になっている場所
  • テトラ帯の切れ目と、その沖の砂地
  • 港内の河口合流部・排水口周り:ベイトが集まりやすい

⚠️ 前提条件:外洋に面した大型漁港であること
外洋と直接接続した大型漁港のほうが、ベイトの回遊ルートが繋がっており可能性はずっと高くなります。

北海道3海域のベイトカレンダー

「いつ・どの海域に・何のベイトが来るか」を把握することが、釣行計画の精度を上げる近道です。
道水産林務部・道総研・FRAの公的資料をもとに、3海域のベイト回遊を整理しました。

(◎:大群・盛期 ○:接岸あり △:散発的 —:ほぼなし)
※公的資料と実釣例をもとにした目安です。年や海況によって変動します。

日本海沿岸のベイト回遊(小樽〜稚内)

ベイト種 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
マイワシ
カタクチイワシ
ニシン
チカ
マサバ
マアジ

日本海は「冬〜春のニシン」と「夏〜秋のイワシ」の二段構えで、ほぼ通年何かしらのベイトが岸に寄っています。

ニシン(1〜5月・11〜12月)
春ニシンは2〜4月に稚内〜小樽の日本海沿岸へ産卵接岸します。
磯やコンブ場に隣接した浅場に大群で集まるため、この時期の磯際はヒラメが待ち構える絶好のシチュエーションです。
道南日本海(上ノ国周辺)では12〜1月末にイワシとニシンが重なってヒラメが活発になることが知られており、「寒ビラメ」シーズンと重なります。

マイワシ・カタクチイワシ(5〜10月)
5月頃から接岸が始まり、6〜9月が最盛期です。
石狩湾(小樽・石狩湾新港)では漁港内にサビキで釣れるほど大群が入ります。
この時期に漁港内のイワシを確認できれば、ヒラメが港内まで追ってきている可能性が高まります。
積丹半島西岸は大陸棚縁と岬状地形が重なり、マイワシ・サバが集まりやすい地形として知られています。

マサバ・マアジ(7〜11月)
夏以降に加わる回遊魚。
秋(9〜11月)のマサバ盛期はヒラメの「寒ビラメ」シーズンと重なり、道南日本海サーフが実績地になります。

太平洋沿岸のベイト回遊(道南〜道東)

ベイト種 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
マイワシ
カタクチイワシ
ニシン
チカ
シシャモ
キュウリウオ
マサバ

太平洋側の最大の特徴は「シシャモ」という北海道固有のベイトです。
道東・日高だけで成立する秋の爆発シーズンを生み出します。

チカ・キュウリウオ(4〜6月)
春のベイト。チカは漁港内に周年生息する「常設ベイト」で、産卵期の4〜5月に浅場へ大群が集まります。
キュウリウオは4月下旬〜5月に産卵遡上するため、河口周辺がヒラメの狙い目です。

マイワシ・カタクチイワシ(6〜10月)
道東(根室・釧路)では夏〜秋がピーク。
2010年代以降、マイワシの回遊域が道東まで拡大しており、以前より北海道太平洋側でマイワシを見る機会が増えています。

シシャモ(10〜11月)
北海道太平洋沿岸にのみ生息する固有種で、10月中旬〜11月下旬に鵡川・沙流川・釧路川などへ産卵遡上します。
沿岸に集積するこの時期に、ヒラメ・アキアジ・サクラマスなどの大型捕食魚が一斉に捕食行動に入ります。
胆振・日高のサーフが道内有数の秋ヒラメシーズンを迎える理由がここにあります。

オホーツク沿岸のベイト回遊(紋別〜根室海峡)

ベイト種 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
マイワシ
カタクチイワシ
ニシン
チカ
キュウリウオ

オホーツクは流氷退去(5月前後)がシーズンインの合図です。
「春の複合ベイト接岸」と「夏のマイワシ盛期」の二段構えになっています。

※マイワシの来遊時期は年や海況によって前後する傾向があります。

ニシン・チカ・キュウリウオ(3〜5月)
流氷退去直後から春のベイトが一斉に接岸します。
サロマ湖・網走湾周辺ではニシンの産卵接岸が盛んで、ヒラメの浅場接岸が始まる時期と重なります。

マイワシ(6〜8月)
日本海を北上したマイワシが6月上旬に宗谷海峡を越え、7〜8月がオホーツク沿岸の最盛期です。
紋別・斜里・網走のサーフ・漁港はこの時期がヒラメの狙い目になります。

ヒラメが釣れる水温と時期(北海道版)

適水温は16〜21℃|上昇局面が狙い目

複数の研究と実釣データから「14〜23℃が釣れる有効域、ベストは16〜21℃(ピーク18〜20℃前後)」というのが最も信頼できるコンセンサスです。

水温帯 ヒラメの状態
16〜21℃ 最高活性・中層まで積極的に追う
14〜16℃ 口を使うが2〜3日安定が条件
10〜14℃ 底べったり・リアクションかスロー展開
10℃以下 省エネモードに移行

重要なのは「水温が上昇中かどうか」です。
同じ18℃でも、20℃から下がってきた局面では想定より活性が低くなります。
水温が上昇しているタイミングで入ることが、北海道のヒラメ釣りで意識したいポイントのひとつです。積丹・石狩・苫小牧のエリア別水温と釣れる魚種の関係は海水温攻略ガイドにまとめています。

春漁(5〜7月)と秋漁(9〜11月)の二山型

北海道日本海〜津軽海峡海域の漁獲データでも、春(5〜7月)と秋(10〜12月)に漁獲が集中する「二山型」のパターンが確認されています。
これはちょうど水温が14〜21℃の帯域を通過する時期と一致します。

春(5〜7月)
水温が上昇し始め、ヒラメが浅場へ移動してくる時期です。
マイワシ・カタクチイワシの接岸が始まるタイミングと重なります。
なかでも噴火湾(礼文華・豊浦・長万部周辺)は半閉鎖湾のため水温上昇が早く、道内で最もヒラメの早期接岸が期待できるエリアです。チカ・キュウリウオの産卵接岸とも重なり、春ヒラメの実績が道内屈指です。4月の実測水温データも釣行計画の参考にどうぞ。

噴火湾(内浦湾)|道内最大級のヒラメ密度を生む4つの理由

太平洋側でヒラメ釣りの聖地といえば、まず名前が挙がるのが噴火湾(内浦湾)です。
「水温が早く上がるから」だけでは説明しきれない、4つの構造的な理由があります。

① 広大な砂泥底サーフと遠浅地形

豊津海岸(長万部)・大岸海岸(豊浦)など、遠浅の砂泥底サーフが湾岸に長く続いています。
道総研の底質調査でも湾内の海底は砂泥域が安定して維持されており、稚魚期から成魚まで着底・育成に最適な環境が広がっています。
カケアガリが点在する地形も多く、ヒラメの定位ポイントが自然に形成されます。

② 多数の流入河川がベイトを安定供給

噴火湾には長万部川・山越川・静狩川・国縫川・礼文華川など10本以上の河川が流入しています。
春〜秋はチカ・キュウリウオ・イワシ類が河口周辺に集まり、秋(10〜11月)は山越川(八雲町)などへのシシャモ産卵遡上が始まります。
これだけの種類のベイトが季節を変えて途切れなく供給される湾は、道内でも噴火湾が突出しています。

③ 種苗放流による資源の底上げ

北海道栽培漁業振興公社が渡島・胆振海域(噴火湾沿岸)に継続的なヒラメ種苗放流を実施しています。
自然再生産に加えて放流魚が加わることで、沿岸の資源量が底上げされており、これが高い釣果密度の一因になっています。

④ 内湾構造による環境の安定性

外洋の波浪が直接入りにくい半閉鎖湾のため、水の濁りが少なくルアーへの視認性が高い状態が保たれます。
遊漁船でも水深4〜12mの浅場がメインフィールドになるほど、ヒラメが超浅場に定着しやすい環境です。
外洋サーフでは流されてしまうようなルアーの動きも、穏やかな湾内では丁寧に見せられます。

豆知識:貧酸素水塊でヒラメが浅場に追い上げられる
夏〜秋の噴火湾では湾内深部に「貧酸素水塊」が発生することがあります。
酸素濃度が下がった底層を嫌った底生魚が浅場へ移動するため、この時期は岸近くのカケアガリや漁港でヒラメが接岸しやすくなる可能性があります。

噴火湾の実績ポイント

ポイント 地形 主なベイト 実績時期
豊津海岸(長万部) 深めのサーフ・カケアガリ イワシ・チカ 5〜11月
大岸海岸・茶津崎(豊浦) 長いサーフ・岬絡み イワシ・チカ 5〜11月
山越川河口(八雲) 河口サーフ シシャモ・チカ 10〜11月
長万部漁港 漁港・砂地 大チカ(通年) 通年
石倉漁港周辺(森町) 漁港・砂地 大チカ 春〜秋

秋(9〜11月)
夏の高水温期を過ぎ、水温が適水温帯に戻ってくる「荒食い」のシーズンです。
シシャモ(太平洋側)、マサバ・ニシン(日本海側)が同時期に接岸するため、道内3海域それぞれでヒラメが活発になります。

寒ビラメ(11〜12月)はなぜ釣れるのか

道南日本海サーフでは、一般的なシーズンが終わった後も「寒ビラメ」として実績が続きます。
「水温が下がると釣れなくなる」と思われがちですが、北海道のヒラメは少し事情が違います。

資源評価や行動観察の研究では、水温が20℃を下回り始める11〜12月にも、ヒラメが日中から底を離れて積極的に捕食行動をとるケースが報告されています。
「水温低下=活性低下」ではなく、「適水温帯(14〜20℃台)に戻ることで荒食いモードに入る」イメージです。

海洋生物環境研究所が行った沿岸性魚類14種の温度耐性実験では、ヒラメはスズキやクロダイ類とともに温度耐性幅が31〜33℃と非常に広い「広温性魚種」に分類されています。
この広い温度耐性のおかげで、北海道のヒラメは10〜13℃台の水温でも十分な活動が可能です。
石狩湾周辺でも水温12〜13℃台で釣果が続く例があり、水温だけを見て諦めるのはもったいない季節です。

寒ビラメとは、水温が低下してもベイトの接岸によって高活性になるヒラメのことです。
ベイトと地形が噛み合うタイミングを読めれば、人が減る晩秋〜初冬こそチャンスが広がります。

ベイトを見つけるフィールドサイン

ナブラ・鳥山・水面のざわつき

現地でベイトの存在を確認する方法を頭に入れておくと、釣行当日の判断が速くなります。

  • ナブラ:水面が急に騒がしくなりベイトが跳ねる状態。ヒラメが直接起こすことは少ないですが、ナブラの下にヒラメがいるケースは多いです
  • 鳥山:カモメ・ウミネコが旋回して降下を繰り返している場所は直下にベイトが集中しているサイン
  • 水面のざわつき・銀鱗:穏やかな水面が部分的にざわつく、水面近くで銀色の光が見える。漁港内でこれが見えたら足元のカケアガリや岸壁基部を重点的に狙います

カタクチイワシとマイワシ、どちらを優先するか

2種類のイワシはヒラメ釣りで異なる意味を持ちます。

カタクチイワシ(日常ベース)
7〜15cmと一口サイズで、漁港内に大群で接岸しやすいのが特徴です。
石狩湾・噴火湾など内湾型の港湾では夏〜秋に繰り返し入ってくるため、サビキ釣りの人がいる漁港周辺は常にヒラメの可能性があります。
再現性の高い「標準ベイト」として意識しておきましょう。

マイワシ(イベント型)
15〜25cmに育つため、入れば中〜大型ヒラメが一斉に着く「爆発イベント型ベイト」です。
SNSや釣具店で「マイワシが大量接岸」という情報が出たら最優先で動くべきです。
江差でカタクチイワシの大群が入った日にブリとヒラメの魚影が一気に濃くなったように、大群接岸はフィッシュイーター全体の活性を一変させます。

ルアーとアクション

メタルジグの下シャクリ|スライドでボトムをキープ

一般的なメタルジグのアクションは「上にシャクって跳ね上げ→フォール」ですが、
ヒラメ狙いでより効果的なのは「竿を下方向にシャクる」アクションです。
ルアーの浮き上がりを抑えながら横方向にスライドさせることで、ボトム直上をキープしたまま動かせます。

上シャクリではルアーが高く跳ね上がり、ボトム付近で待ち伏せているヒラメの捕食ゾーンを一瞬外れてしまいます。
下シャクリのスライドアクションなら、ヒラメが飛び出さずに捕食できる射程内をルアーが通り続けるため、食わせる間が長くなります。

ミノーのダートアクション|リアクションバイトを誘う

下シャクリはミノーでも有効です。
ミノーに同じ動作をかけると、ルアーが左右に不規則に飛ぶ「ダートアクション」になります。
これはパニック状態で逃げ惑うベイトの動きそのもので、ヒラメのリアクションバイトを誘いやすいアクションです。

メタルジグのスライドでボトムをキープしながら食わせるか、ミノーのダートで反射的に口を使わせるか。
状況に応じて使い分けることで攻略の幅が広がります。

まとめ|釣行前チェックリストで釣果を上げる

「ヒラメは難しい」と感じる理由のほとんどは、場所の種類にこだわりすぎることにあります。
サーフか磯か漁港かではなく、「ベイト×地形×水温」の3条件が揃っているかどうかがすべてです。

道南・江差でカタクチイワシの大群が入った日、ブリもヒラメも一気に出ました。
あの日と同じ条件——ベイトが接岸し、砂泥底に変化がある地形に立ち、水温が上昇局面にある——を揃えることが、「狙って釣る」ための出発点です。

3海域のシーズン早見表

🌊 日本海(小樽〜稚内)

冬〜春のニシン(1〜5月)と夏〜秋のイワシ(5〜10月)の二段構え。
道南日本海では11〜12月に「寒ビラメ」として実績が続く

🌊 太平洋(道南〜道東)

噴火湾(胆振):砂泥底×流入河川×種苗放流で道内最大級の資源量。春(5〜7月)の早期接岸が道内屈指
日高:沙流川・鵡川周辺の河口サーフ。秋(10〜11月)のシシャモ接岸が道内最大の爆発シーズン

🌊 オホーツク(紋別〜根室海峡)

流氷退去後(5月〜)がシーズンイン
7〜8月のマイワシ盛期が最大の狙い目

地形の鉄則:ヒラメは「砂泥底×変化」がある場所に定位します。
サーフなら離岸流の筋・カケアガリの下側、磯なら岩礁と砂地の境目、漁港なら船道のカケアガリと外洋接続が条件です。

水温の読み方:ベストは16〜21℃、有効域は14〜23℃。ただし数値より「上昇中かどうか」が最優先。
同じ18℃でも下降局面では活性が落ちます。
北海道のヒラメは低温耐性が強く、11〜12月の寒ビラメシーズンは水温10〜13℃台でも活性を維持します。
水温が下がっても、ベイトが接岸していれば釣れるのが北海道ヒラメの特徴です。

📋 釣行前チェックリスト

  • 水温は14℃以上か?上昇局面か?
    (16〜21℃がベスト。下降中は同じ水温でも食いが落ちる)
  • その時期のベイトは何か?どこに集まるか?
    (3海域のカレンダーで確認)
  • ベイトの接岸情報は出ているか?(イワシ類・ニシン・チカ・シシャモなど)
    (SNS・釣具店・釣果サイトでチェック)
  • 狙うポイントに「砂泥底×変化」はあるか?
    (カケアガリ・離岸流・磯際の砂地・船道の段差)
  • 漁港なら外洋と繋がっているか?
    (外洋に面した大型漁港を選ぶ)

河口規制・遊漁ルールの最新情報は北海道庁「フィッシングのルールとマナー」で確認できます。

条件が重なった日に、適切な地形を選んで立てば、ヒラメは「運ゲー」ではなくなります。
今シーズンの釣行計画に、ぜひこのチェックリストを活用してみてください。

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